犯人隠避(いんぴ)について

犯人隠避(いんぴ)について

10数年前、人身交通事故を起こしそのまま車を置いて少年2名が逃走するという案件を扱いました。
次の日、一人の少年が出頭してきて、「私が昨日事故を起こした○○○です。」と言ったのです。
少年の供述に基づき詳しく調査すると、昨日事故を起こした車両の使用者と出頭してきた少年の人定は合致するものの、事故当日の前後の話(いわゆる前足や後ろ足)や事故の具体的整合性に矛盾を感じることが多かったため、事故の目撃者探しから始まり、当事車両に残された指紋(遺留指紋)、更には血痕や毛髪等を採取してDNA鑑定も行いました。
すると、出頭してきた少年のものとは違い、少年が嘘をついて出頭してきた事実が判明したのです。
その後の調べにより、出頭してきた少年は、地元の先輩2名に車を貸したものの無免許運転であり、先輩2名が交通事故を起こし、無免許運転の発覚を恐れた少年らが交通事故現場に車両を放置して逃走した事実が判明、その後、先輩に頼まれ身代わり出頭してきた事実も判明したのであった。

この案件については、車両を運転していた少年を業務上過失傷害及び救護措置義務違反(ひき逃げ)、並びに道路交通法違反(無免許運転)で通常逮捕、先に出頭してきた少年を犯人隠避で通常逮捕、実に二名の逮捕者を出して終わったのです。

無免許運転は別の話ですが、交通事故はあくまでも過失です。
きちんと警察や消防に通報して正規の手続きをしていれば逮捕されることはなかったのにと悔やまれるばかりでした。

また、自分の保身ばかり考えて、友達までも刑法犯の被疑者に貶めた少年の行動については嘆かわしく思うばかりではないでしょうか。

交通事故鑑定人 K

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